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豊富なノウハウのもと、『おもてなし』の心にあふれた衣料を届ける。|和興

Update: 2019.12.29|CategoryTOPICS, よみもの

初代・國分新吉氏が墨田区でミシン一台から縫製業をはじめたのは、1929年のこと。現在は和興との社名に変え、自社縫製工場を持つ100%日本製のアパレルOEM・ODM生産メーカーとして多彩な衣料品を生み出している。

「1968年に設立した和興ニット岩手で生産を担い、東京・墨田の本社では営業とパタンナーをメインにおいて顧客との交渉やサンプルの作成を行っています」と教えてくれたのは、取締役の國分博史さんだ。「経験豊富なパタンナーを有しているのが、当社の強みのひとつ。それぞれのクセのあるブランドの特徴を掴み、トレンドを踏まえたパターニングができるだけでなく、協力工場ごとの長所・短所を考慮した製作を行えます。工場を持つ縫製会社やアパレル企業は非常に少ないですから、その視点を持ったモノヅクリを行えることで、理想に限りなく近い製品を生み出せるんです」

 

和興で取り扱っているのは、メリヤスと呼ばれる編み物のカジュアル衣料が中心だ。メンズとレディースの比率は、3:7程度。主顧客は30社ほどで、これは同業他社と比べて多いほうだという。

「5~6社の太客を相手に経営する企業も多いと聞きますが、当社は細かな仕事を多くの顧客から頂戴することが多いです」

注文の約9割が、顧客から依頼された内容を元に衣料品を製造するOEM。商品コンセプトや素材の思案、コスト管理などより上流からのコンサルティングを含めたODMは約1割程度だ。

「60年以上に渡る縫製業のノウハウの蓄積を活用して、私たちがご協力できることはもっとたくさんあると考えています。ODMの案件はもっと増やしていきたいですね」

 

また和興では、創業以来日本製を貫いている。博史さんによれば、1990年までは国内に出回る衣料の約半数が日本製だったが、現在は3%未満にまで減少。以前は近隣に1500社ほどあった同業者も、ここ30年で10分の1以下にまで落ち込んできたという。

「日本製の良さは、『おもてなし』の文化にあると考えています。顧客の立場に寄り添い、試行錯誤を経て希望に添えるような製品を提供する。ただ仕様書を通じたやり取りだけでは到達できないレベルの製品にまで落とし込めるのが、当社をはじめとする日本製ならではの良さなのではないでしょうか」

 

素材開発にも積極的だ。たとえば、自宅で洗うことのできる防縮ウール生地を開発し、レディースのキャミソールなどに採用している。通常よりも低速で編み立てることで実現した機能で、縫製にかかわる潤沢なノウハウがあるからこそだ。

東東京モノヅクリ商店街でも、オリジナル品の開発を進めている。素材に選んだのは、福井の越前和紙。この和紙で作られた糸を使い、Tシャツなどの衣料品作りを目指している。

「サステナブルな社会を実現する、ちょっとしたきっかけになればと考えました」と話すのは、同プロジェクトを牽引する小林真琴さんだ。2018年に入社したばかりだが、衣料業界でサステナブルやエシカルな流れを実現したいという強い希望を持っていたという。「和紙の原料となる植物は非常に成長が早く、環境に与える負荷が少ないのが特徴です。今の社会で自分が何をできるのかをずっと考えていて、このプロジェクトはそうした問いのひとつの答えなんです」

 

世界で叫ばれているサステナブル──持続可能な社会の実現。流行の名のもとで大量生産・大量廃棄を繰り返してきたアパレル業界が抱える問題は大きい。

「単価を下げてでも大量に生産して、利益を得る。そうした姿勢はいつまでも続かないと思います」と博史さんも痛感する。「価値あるモノを適正な量だけ生産し、必要とされる人に正しく届けることがより大切な時代になってくるでしょう」

小ロットの生産に答えているのも、そうした考えの延長線上にあるものだ。小規模な小売店のスタッフウエアの製造や、独立したばかりのデザイナーからの依頼も受諾。手間がかかるのに大きな実入りは期待できないが、博史さんは「消費者に近い位置でものづくりができる良さはありますし、大量生産・大量廃棄の問題に対するひとつの答えだと考えています」と理由を述べる。

 

OEMメーカーとしての矜持を保ちつつ、ただの下請けからの脱却が今後の課題だ。

「付加価値の創造、より直接的な販路の獲得、海外展開の3つを推し進め、企業価値を高めていきたい。時間はかかるし大変な努力が必要だ思いますが、そうした行動が当社や業界を正しい方向へと変えるものと考えています」

INFORMATION

株式会社 和興

〒130-0021 東京都墨田区緑2-15-9
TEL:03-3634-5645

https://www.wakoh.tokyo/

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