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伝統を守りながらも革新的 “いま”欲しい硝子たち

Update: 2016.02.12|CategoryTOPICS, よみもの

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この日は農村文化のぬくもりが残る古民家、立花大正民家園 旧小山家住宅で「食と器×廣田硝子和菓子・紫をん」のイベントを開催。外は穏やかな小春日和。縁側の窓から差し込んでくる光が、硝子の器たちをより一層きらきらとまぶしく輝かせている。

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市松模様や水玉模様…昔、おばあちゃんの家でみたようなレトロで温かみのあるもの、繊細なカットが入ったもの、触れたときの感触も心地よく持つと手にしっくりと馴染む感じがなんとも心地よいのです。

この硝子を作っているのが、明治三十ニ年に創業した廣田硝子株式会社。
現在は4代目である廣田達朗さんが代表取締役を務めています。

廣田硝子の商品は、すべてハンドメイド。熟練した職人たちの手によって、ひとつひとつ丹念に作られています。
この美しい作品がどうやって作られているのか、廣田さんにお話を聞いてみました。

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廣田さん「硝子作りは約12時間かけてゆっくりと原料を溶かしてガラス食器を作り上げていくという、とても地道な作業。形になるまでの時間、そして多くの人による労力も多いので非効率ですし、経営の効率化が全て善である今の時代には合っていないですよね。(笑) この硝子を作るために、珪砂(けいさ)という砂を使っております。」

— 砂によって、何が変わるのでしょうか?

廣田さん「硝子は透明であるがゆえに傷や異物が視認しやすいですし、ほかの固体に比べ比較的硬度がなく壊れやすいんです。色を出したいときは硅砂と別に鉱物を入れることで、硝子に色を出していきます。」

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——最近は大型量販店の影響もあり、ハンドメイドでモノヅクリを続けて行くのは大変なのでは。
職人さんの数も減ってきているとよく聞きますが。

廣田さん「たしかに、昔ながらのガラス製法や今の時代の流れに沿って流通する商品も変わってくることで、技術を持った職人の数も減ってきています。私は戦前東京の下町で多く作り流通していた硝子食器を復刻したいんです。
例えば30年ほど前、父の代で作っていた千鳥格子柄のデザインなど。

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ただ、昔のデザインを復刻させようとしても、当時の技術を持った職人や金型を興せる工場がない。ということも少なくありません。平成のこの時代に昔作っていた硝子食器を復刻させるということは、昔ながらの技術と、これから継承していく職人の技術を維持させることにも微力ながら繋がると考えております。

このような思いは小さなことかもしれませんが、昔ながらの硝子食器の技術や伝統を、次世代にも繋げていけることかと考えております。」

伝統を継承しながらもその時代のエッセンスを加え、少しずつデザインをアレンジ。
日常にそっと寄り添ってくれるモノヅクリを続けていることがうかがえます。
近年硝子工場が減ってきている中、廣田硝子では輸出も増やしているそう。

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廣田さん「商品を見たときに本能的にお客様に“欲しい!” と思ってもらえるような硝子食器を作っていかないと、せっかく作っても使われませんよね。他社でも他国でもあまり見られない製法や形状といった、他には無いデザインの硝子食器を作っているという点を中心に考えております。

特に欧米諸国などの海外の人にとっては、アジア=陶器・漆器のイメージが強く、日本で硝子を作っているというイメージが、実はあまりございません。もともと日本での硝子は明治に入って本格生産をはじめた、基は海外から入ってきたものですしね。でも“Made in Japan”ならではの繊細な美しさと丁寧に作られた硝子たちを、海外にもっと広めていきたいです。」

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最近では、BEAMSやTomorrowlandなどのアパレルショップでも販売されるように。
また、デザイナーとコラボした作品を作ったり、NYNOWで展示を行ったりとますますアクティブに活動している廣田硝子。実直にモノヅクリを続けるだけでなく、様々な角度からモノヅクリを広め、若い世代にも手に取りやすい環境を整えてくれているのです。

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廣田硝子オフィシャルサイト
http://hirota-glass.co.jp/
撮影/Kira 文/東山サリー

INFORMATION

廣田硝子 Hirota Glass 

〒130-0013 東京都墨田区錦糸2丁目6−5

電話:03-3623-4145

URL : http://hirota-glass.co.jp/

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