東東京MAP

We believe that we will be able to make a new world
and value things correctly with the creativities
SUPPORTED by SELF

東京発!生活を豊かに彩る 染色クラフトマンシップ。|丸枡染色株式会社

Update: 2018.12.04|CategoryTOPICS, よみもの

東京!生活を豊かに彩る

染色クラフトマンシップ。

東京都葛飾区柴又。映画「男はつらいよ」の舞台として有名なこの地は、江戸川と中川に挟まれた水流豊かな街。そんな柴又に工場を構える丸枡染色株式会社は創業1901年の老舗染色会社。過去四代にわたり、豊富な経験や知識と卓越した染色技術を糧に、激動の時代を生き抜いてきた。

 

「弊社はもともと京都友禅の専属工場として創業しました。しかし戦後から高度成長に入ってく中で和服の需要は減少。和装から洋装の変化に伴って繊維の一大産地だった東東京では、丸編みニットと呼ばれる柔らかくて伸縮性のあるTシャツ生地が生産されていきます。その大きな流れの中で私の父である三代目が、和服の染色から洋服の染色へ業態変換しました。職人技術を工業化して、無地染めやシルクスクリーンプリントに挑戦、たくさんのトライアンドエラーを繰り返し、今があります」。

 

そう話すのは丸枡染色四代目社長の松川和広さん。美大出身という経営者としては異色な経歴の持ち主だ。そんな松川さんが入社した2000年代も、まさにアパレル業界の変革期。海外ファストファッションの台頭により、国産アパレルの多くがコスト削減のため、生産を海外にシフトした時期だ。

 

「当時、国内の繊維業界が生き残りをかけて、今までにない細い糸で繊細な生地の開発をしていました。とても繊細な生地だったので、染色にも技術と覚悟が必要。すでに産地構造が崩壊していた東京で、時代の波に飲まれず生き残ってゆくためには、これまでにない新素材に開発段階から関わっていくことが不可欠でした。そのような経験をすることで、様々な条件を1から構築し直して、乗り越えていくという社風が育っていきました」。

 

そんな丸枡染色は2011年に自社スカーフブランド”marumasu”を立ち上げた。

 

「入社してすぐにオリジナルの生地を作り、アパレルメーカーやデザイナーに提案し、別注に繋げる新規事業を一人で担当していました。しかしファッションは移り変わりの早い業界。短サイクル、小ロットが当たり前になりつつある中で、例え注文に繋がっても客先ごとに細かい対応が必要となるので、量産までは長い時間がかかります。5年の歳月が過ぎた頃に、自分たちでブランドをやるしかない、と」。

 

自分たちの染色技術を最大限活かしつつ、よりわかりやすい形でプロモートできる商材こそ、スカーフだったのだ。

 

「初めは社内でも反対意見の方が多かったですね。しかしこのまま委託加工の生産に依存していても、年ごとに受注数に波があり、先も見えません。自立した事業として売上を安定させて、技術や品質も追求したい。そんな思いでブランド名やコンセプト、サンプルを作って展示会に応募してブランド事業を初めました。幸運にも当時、ファクトリーブランドと呼ばれる工場の6次産業化が注目され始めた時期で、百貨店もインバウンド対策として日本のものづくりにフォーカスした売り場作りを始めていました。そんなトレンドの後押しもあり、夢中で挑戦してきました。気がつけば、今年で7年目です」。

 

“marumasu”は2016年、銀座の東急プラザに直営店を開業。自社の技術を活用したブランドの創立、まさに6次産業化の成功事例だと言える。そんな”marumasu”が見越すネクストステージはなんなのか。製品部の田中綾乃さんに聞いた。

 

「ブランドとしての発信力を強めていきたいです。もともとB to Bの会社なので、B to Cに関しては日々勉強という感じです。しかし、ありがたいことにブランドのファンも増えています。ここで改めてブランドの母体がなんなのか、コンセプトなども含め、丁寧に発信していきたいです」。

 

前職はアパレルのデザイナーであった清野孝夫さんも続く。

 

「スカーフと同じ柄のヘアターバンを作ったら、お客様が喜んでくれたんです。そのヘアターバンは、スカーフの製造過程で出てしまう切れ端などを再利用して新しい価値を創る、アップサイクルの一環として作ったものでした。スカーフを軸に、テキスタイルブランドとしてできることはまだまだたくさんあると気がしています」。

 

まさに今、”marumasu”はスカーフブランドとしてのフェーズから、テキスタイルブランドとしてのフェーズへ移行しようとしているのだ。卓越した染色技術を駆使するファクトリーブランドは、まだまだたくさんの可能性を秘めていると松川社長は言う。

 

「身の回りを見ていくと日々のライフスタイルの中に“布もの”はたくさん存在しています。その中でストールは、外に出かけるときに身に付けるもの。だからこそファッション性や、身に付けることで楽しい気分になる高揚感を大事にしています。でも、その感覚は家の中にあっても良いはずです。染色の技術を使って世界中の人の生活や人生をちょっと豊かにしていく、これからもその可能性を追求していきたいと思っています」。

 

柴又の染色工場に設されたmarumasuのショム。

工場には染色前の素材が大量に置かれている。

大型のシルクスクリンプリンタ明する松川社長。

 

大型インクジェットプリンタ。この機械を使って様々な柄を制作することができる

 

左からデザイナー清野孝夫さん、松川和社長、デザイナの田中綾乃さん。

 

丸枡染色株式会社

marumasu

 

125-0052

東京都葛飾区柴又4-27-10

TEL 03-3659-7211

http://marumasu-scarves.com

POPULAR POSTS

    まだデータがありません。