ホーショー株式会社の3代目となる井口さんは、もともと家業を継ぐと昔から決めていました。
大学卒業と同時に関連の会社で配送部門・品質管理部門と下積みを積み、その間たくさんの工場と顔を繋げ、10年ほど学んだ後営業へ。そして晴れて現職へ。オリジナル商品も好調なホーショー株式会社の代表取締役である、井口茂樹さんにお話を伺いました。
井口「弊社はもともと写真のネガ&ポジを入れるプラスチックシートやアルバムなど、写真整理用品の包材を製造販売していました。企業の裏方として表に出ることはそもそもなかったんですね。ただ、写真がアナログからデジタルへ移行したことで、急激に変化しました。そこにリーマンショックも加わり、安い人件費を求め日本の工場が大量に海外へ出てしまった、いわゆる空洞化が叫ばれた時代です。
私は日本で作ったものを日本で消費したい。という思いが強かったのです。
そこで、今後どうしていくかを考えた時に、本来の業務の一環として、さまざまなプラスチックシートの製造や加工を行っていたので、弊社で扱っているシートを使えば、これまでとはまったく違う、紙のように折りたためるお弁当箱がつくれるのではないかと考えたのです。そしてデザイン会社と組み、HO.H.というブランドを2010年に立ち上げたのです」
HO.H.の商品はデザインも可愛らしいですね。そしてエコ。最後は平たく折りたたんで持って帰られるのも嬉しいです。
井口「このFLAT LUNCH BOX(フラットランチボックス)はおかげさまでヒットしまして、累計40万個ほど出荷しています。おはしつつみも、繰り返し使えて昔の箸箱みたくカチャカチャ音もならない、そして軽くて持ち運びが楽だとお客様に喜んでいただいております。
また、折り紙式お箸飾りcohanaもやはり日本製にこだわった商品です。紙には日本古来の色を使い、セットになっている箸には日本製・国産檜を使用しています。こちらは伊勢神宮に奉納されたISEMITATE選定商品にもなりました。
会食やお客様をおもてなしする際などに、食卓を華やかに彩ってくれるアイテムとして好評いただいております。HO.H.とcohanaの二本立てですね。今年は新しい展開を行い、飲食店で業務用として使用いただけるよう取り組んでいます」
オリジナル商品も好調ですが、核となる仕事もオリジナル商品になるのでしょうか?
井口「弊社は、自社ブランドの製造が2割、企業様のパッケージ作りが4割、残りの4割が包装資材の裏方業です。写真のフィルム資材製造もまだまだやっているんですよ」
急激な時代の変化にその都度柔軟に対応されて来られていますが、逆に変わらないことはありますか?
井口「30年変わらないことは、「人の手で作っている」ことです。機会が作る行程もありますが、最後の微調整はやはり人の手が必要です。職人の技と工場のオペレーターの技が積み重なって、やっと世に出せるひとつのモノが完成するんですね。社会のみんなが繋がっているんだということを実感していたい。そして日本をもっと活性化したい。
だから、高めの値段設定でもいいと考えています。そうすることで、良いモノを分かってくださる方に買っていただきたい。大量生産から、きちんとしたいいモノヅクリをする時代になってきているのだと思います」
あったらいいな。こうしたら便利だな。というひらめきが原動力という井口さん。
モノヅクリを続けていて、嬉しいことはどんなときですか?
井口「弊社の商品を手にとってくださったお客様が、ニコッと笑ってくださることが一番嬉しいんです。そして使っていただけるということは、やはりすごく嬉しいことですね。これからも、日本製というつながりにこだわりながらも、楽しくて機能的そしてエコロジーな、お客様に喜んでいただけるモノヅクリを続けて行きたいと思います」
ホーショー株式会社
東京都千代田区神田淡路町2-23-1
TEL:03-3255-1771
http://www.hoh-pack.jp/
文:東山さり
Photo_MURAKEN