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『ブランドを立ち上げることで、モノづくりの“深化”を目指す』中村縫製

Update: 2018.01.17|CategoryTOPICS, よみもの

OEM製造である中村縫製の2代目、中村剛義さんの職場兼ご自宅は、ただ今大規模なリフォーム中。オリジナルブランドの開発や、職人が見える店舗のオープンに向けて、奮闘している真っ最中です。子どもの頃から縫製の現場を見続けて、日に日に深くなったこだわりを一枚の服に注ぎ込む――50年近く続く中村縫製に、いま新しい風が吹こうとしています。現在でも職人として腕を振るうご両親も、元アパレル勤務の奥さまも、中村さんの強い味方。今回は、新しいブランドとお店について伺いました。

 

――今はどのようなお仕事が多いですか?

 

「ヴィンテージやアンティークと言われる、古いモノを参考にしながら、商品を作り込む仕事が多いです。相手の方がこういうのを作りたいんだよねってヴィンテージの洋服を持ってきて、それならばこの生地でこう縫えば?……と互いに意見を出し合い、生地を作りこむところから始めています」

 

――そのような依頼がくるようになったきっかけはあるんですか?

 

「特殊ミシンのフラットシーマを導入したことです。縫い代が立たないミシンで、その歴史を紐解いていくと、1960年代から発売しているんです。ヴィンテージが好きな人にとっては、その様なミシンと同じ縫製が可能なミシンが稼働していて、このミシンで作っているということも重要なんです」

 

――今のお話しのように、OEM製造というと、他からの依頼を受けて商品にするというイメージなのですが、東東京モノヅクリ商店街には何を出品するんでしょうか?

 

「自社でオリジナル製品を作ることになって、それで東東京モノヅクリ商店街にもお願いすることになったんです。『中村縫製』というブランドを展開するってことです。名前も古くさいですが(笑)」

 

――新しいブランドを作るんですね! どのようなブランドになるんですか?

 

「肌着に特化したブランド、アメリカンヴィンテージに特化したブランド、ヨーロピアンアンティークに特化したブランド、3つで進めていく予定です。古き良き洋服と昔からの肌着を再現していこうと思っています」

 

――デザインはどうされるんですか?

 

「今の時代に受け継がれる不変的なモノが参考になると思います。普段はあまり使うことのできない仕様なども盛り込み作り込むことで、新たなデザインになればと思っています」

 

――じゃあ、デザインもシンプルなものに?

 

「そうですね。基本的に無地のベーシックなモノになるかと。色も始めは生成りと白の2色で考えています」

 

――すごく似ている2色なんですね。どうしてその色に?

 

「まずはベーシックに気に入っていただけるモノを作り出せればと思っていて、色は製品染めなどで対応していこうかと思っています。幸い、弊社は東東京モノヅクリ商店街でも御馴染みの内田染工場さんとのお付き合いもあるので、今後の展開にと思っています」

 

――なるほど。つくり手ならではの発想ですね。何型くらい作るんですか?

 

「考えているモノはTシャツ、トレーナー、パーカ、スウェットパンツ、下着などです。東東京(モノヅクリ商店街)に出すのは、Tシャツは3型くらい、下着は男性用で4型くらいを予定しています」

 

――どういう部分が『中村縫製』ブランドのこだわりなんでしょう?

 

「縫製で使うミシンもデザインソースも古いモノなので、そこからヒントやインスピレーションを受けつつ、現代の技術でさらに良いモノ、長く着ていただけるモノを作っていくことが機軸となります」

 

――ブログを拝見したのですが、お店も作られるんですよね?

 

「お店というよりは、ガレージショップになるかと……玄関開けたら2秒で工場!!! みたいな(笑)。そんな場所にしたいと思ってるんです。今回、東東京モノヅクリ商店街の力を借りて、縫製工場が自社のブランドを立ち上げた。それなら、作っている風景も見せられる場所にしたいと思って。閉鎖的な工場を、一般の方々にも身近に感じていただくことで、業界全体の活性化に少しでも貢献できればと考えています」

 

――確かにそうですね。縫製工場が立ち上げたブランドだからこそ、その現場を見せる場所があれば、説得力も増しますね。

 

「洋服が好きな人にモノ作りの現場を肌で感じていただいて、ミシンを踏むのが楽しいと言ってくれる人に、ミシンを踏んでもらう場所を残したい。技術の継承とモノ作りの奥深さを同時に発信できる場所になれば最高ですね。専門学校に奨学金制度を使ってでも勉強したいと通っている洋服が大好きな若い方々にも、実際にモノ作りをしている場所を見てもらえれば後継者だって育つはずだし、自分の将来に具体的な夢を描けると思うんです」

 

――今後、中村縫製をどのようにしていきたいですか?

 

「モノを作る場所や環境をもっともっと深化、発展させていって、次世代が心血を注いで服作り、モノ作りを継承する場所を東京に残していきたいと強く思っています。新しく始めるガレージショップでは、売上よりも可能性が一番欲しいんです! 人と出会う、人に見ていただく、人に感じていただく、とかく閉鎖的になりがちな工場をもっと開かれた格好いい場所にするため、力いっぱいやっていきたいです」

 

心から服を愛して、ディテールひとつひとつにこだわりを持つ人と丁寧な仕事をしていく。そして、培われた技術を次の世代へと継承・伝承していく。デザインではなく、不変的なモノ作りという観点から生まれたブランド『中村縫製』の服、手に取って、袖を通してこそ、その価値が伝わってくるはずです。

 

 

 

中村縫製

http://nakamurahousei.tokyo/

 

Photo_MURAKEN

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